田村ゆかりとはなんだったか。これから長々と書いていきますが読むのがメンドクサイと思われるので最初に結論を。
・声優ではなくアイドルである(重要)
・ステージ栄えするスター性を持っている
・信念のもと作り上げられたキャラクターは芸術領域
・毒を吐いてなおキャラを維持できる珍しいタイプ
・客いじり、スタッフいじり、自虐と硬軟自在のMCは絶品
・生で見ないとチャームポイントが理解できない
・通じるのは信念と毒
まだ多くのポイントがありますが絞るとこんな感じ。
まず歌い手としてはそれほどでもありません。ただしあの声質であれくらいのボリュームを出せるというのはある意味奇跡とも言えます。
その特殊性・希少性は大きく評価できても、2時間ないし3時間持たせられるほどのものはありません。インパクトのある声なのでびっくりどっきりできても一定量以上聞くと飽きがくるようなものがある。
なので正攻法のみでやっていたら難しい。これまでの経緯を知らないので過去はどうかわかりませんが、現行を見る限りだと正攻法のみでは戦っておらず、それが成功している正解を導き出している理由と思えます。
ジャケット写真などで田村ゆかりという人の顔を見てアイドル的人気がある人だというイメージが沸きませんでした。あばたもえくぼではないですが、好きになる理由があれば可愛く見えるものなんだろうとは思っていましたが・・・
田村ゆかり33歳ですが現場で見ると可愛い。コレは間違いなく。広瀬香美という40過ぎてなおキュートに見える人というのを見たことがあるので、人の可愛らしさというのは年齢でも容姿でもないというのは理解していたつもりでしたが、田村ゆかりもまた年齢などを超越して可愛さが伝わってくる人でした。
この人にはカリスマという言葉は似合わない気がしますので形容するならばスター性。それほどスタイルが良いわけでもないし、最後方のAブロックからでは顔が良く見えるわけでもない。それでも"可愛い"というのがひしひしと伝わってくる。
それを増幅させていたのが身のこなしの良さ。あまり難しい振り付けをするわけではありませんが、何気ないサイドステップでも魅力的に見える。
やろうとして出来るものでは無いのでそれこそ天性のモノです。で、こういう感じはなかなか映像などでは伝わり辛かったりする。現場で同じ空間を共有しその空気を知って初めて理解できるものがあります。
だから私がここでどれだけ文字を割いてもその良さが伝わるとは思いません。アレを見てもらわなければ伝わらない。
昨日携帯からただ感じるままに松田聖子を感じたと書いたところ、実際に彼女は松田聖子さんのファンなんだそうです。後から知りましたが。
意識するところはあるのでしょうが、だからと言って似るものでもありませんし、似たところで松田聖子になれるわけではありません。
が、田村ゆかりに関してはそうではありませんでした。好きだから意識した部分と結果的にそうなった部分と、両方が合わさった上での結果だと思うからです。
松田聖子というのは歴史上で最もアイドルとして理想的だった偶像なのだと思います。その要素を分析していけばそのチャームポイントが導き出されていく。
きっかけは田村が好むロリータ系の衣装に始まります。彼女がそういう衣装を好むことは事前に承知しており、ライブ開始とともにその手の衣装で飛び出してきたことには驚きはありませんでした。
ただそれが似合いすぎている事には大きく驚きました。似合いすぎてむしろ普通の格好をしていることを想像できない。普通の格好をしている方が不自然に見える。衣装なのにそれが体の一部まるで血肉が通っているような違和感の無さだったわけです。
ここで覚めた見かたをすれば、30過ぎてそんなヒラヒラの衣装着ているなんて・・・って思えるわけですね常識的には。ただ彼女のラジオを聞いていたら自分が痛い格好をしていることは理解しているようなことを言っていた。
お仕着せでもなく、無茶なのをしまいこんでキャラを演じているわけでもなく、信念としてあえてそれをやっている。
田村ゆかりの公演を通じて感じられたのはその一本筋が通った信念であり、筋を通しすぎた結果異常進化してしまったモノでした。
30過ぎてなお体を張っているほしのあきがある意味敬意をもたれているのと同様、痛いを通り越して悟りの極意を掴んでしまったかのごとく。1周回って来たらアリになってしまったのが田村ゆかりと言えます。
しかし、いい歳してそんなヒラヒラが似合うというか許されるのは松田聖子くらいだよなぁ・・・と思ったのがきっかけです。
スター性であり、身のこなしの良さであり、毒づいても崩れないキャラクターであり、神の如く徹底しているポリシーであり、何故かヲタ目線にも造詣が深く、歌もアイドルとしては十二分であり、特徴的な声色の使い方も名人芸でと、歌、キャラクター、見栄え、MC等々考えていくとアイドルとして必要だろうと考えられる要素をほぼ全て満たしていると言えた。
本人が松田聖子を好きだったというのと、単に本人のスペックがリスペクトするその人並みに高かったという二重の要素で被って見えたというのが今思える結論です。
で、やはりその年齢を考えるとなお凄いわけですね。若くて可愛い子が人気ならばだれでもわかりやすい。水樹の友達なんだからてっきり30手前くらいかと思っていたら33。それでアイドル的だと声高に言わしめるのだから凄いわけです。
さて彼女のチャームポイントでありライブや客層を作り上げたであろうと考えられるのが毒です。
彼女はMCでかなり毒を吐きます。その対象は自虐もあり、客に対してもあり、スタッフやバンドメンバーに対してもありえました。そして何故かヲタ目線やネット関係にも造詣が深いこともありかなり突っ込んだトークにもなる。
どちらにせよかなりトーク能力が高く、それこそ音楽業界にMC達者が数いれど客に毒づいて笑いが起きる例は多くありません。私の知っている範囲だと松浦だとか9nine西脇の実姉だとか川嶋あいにもそういう傾向があったかと思いますがごく少数。
その中でもこれだけ全方位に攻撃の手が伸びる人も珍しいですね。で、この毒を吐くという部分がある意味タブーを無くします。
食材も調理も全部一任。その結果どんなものが生み出されても裏の意味か表の意味かは定かでは無いけどきっと面白い物を作ってくれるみたいな部分があります。
その代表的な例が『メタウサ姫〜黒ゆかり王国ミサ』という歌で、ライブ会場限定で発売されたという作品です。コレ中身はメタルです。
メタルといっても正攻法ではなく田村が思いっきりアニメ声で歌うという特殊なもの。ニコニコには音源があったのでリンクを貼りますが、ちょっと聞いた分にはお笑いか馬鹿にしてるんじゃないか?と思えるような作品。
これを会場でガチでやる。コレを聞いたときに、あぁこの人はマジで振り切れている人なんだなと思えたわけで、1周回ってアリなんてレベルでなくなんかもっと凄い変なものであることを理解したわけです。
ニコニコなので聞けない方もいらっしゃるかと思いますが、これが正の意味で凄いと納得できる方はそう多くないと思います。これが凄いと感じられるのが田村ゆかりのライブであり、田村ゆかりの凄さであると言えます。
その振り幅が1周回って明後日の方向まで飛んで行っている。彼女の持つ毒から許された何でもアリ感が異常進化しそれが詰め込まれているものが彼女のライブです。
なので彼女のライブと言うのは単純に持ち歌を歌います的なものではなく、歌やMCも含めて田村ゆかりの言動全般を楽しむ場という方が間違いないと思えます。
歌によって成り立つ水樹が歌手ならば、キャラクターによって成り立つ田村ゆかりは全く別物と言え、なおかつそのキャラクターはアニメに依存するものではありません。
田村ゆかりを知らなかったことを恥ずかしく思うというのは、彼女こそ純粋にアイドルと呼べる存在であろうという証明です。
で、ファンはアーティストを映す鏡という私の持論よろしく、田村ファンが変なのは田村ゆかりがそうだから当然の結論でした。単品で田村ゆかりより個性的だと言える人はほとんどいないと思う。歌は別だけど。