融合
ステージに明かりが入り歓声が上がったのと同時に音が飛び込んでくる。その音に一瞬で魅了されました。そして、このバンドが「演奏>歌唱」であることに改めて気づかされたわけです。
普段は歌専門で聞いているので演奏はいつも脇役です。良い音を出していようが出していまいが二の次であり、脇役を徹するがゆえに前面に出ることも注目を集めることも多くありません。それでも良い音とそうでない音は経験的にわかり、その経験を紐解くまでもなくこの日の演奏が生きた良い音であることがわかりました。
ただこのバンドをそれまでに二回見ている。その二回よりも圧倒的に良い音であることを感じたのも事実。AXの二階はこんなにも良い音が聞こえるのか。そう思ったのと同時に今日は特別に当たりの日なのかも知れないこと感じました。
「生きた良い音」と書くと文章表現で書いても絶対に伝わるものではありません。同じ楽譜で同じ楽器、同じ条件で演奏しても違いが出てくる。それは歌であろうとなんであろうと同じことであり、その差がアーティストの良し悪しの差でもある。
その良し悪しの判断は理論理屈でも経験でもなく直感だと思っています。その直感でこれは本物の音だと感じた。そうだとすると思うことがあった。ライブに行くにあたって先にあげたテーマは以下の通り
・ボーカリストとしての中島優美
・3ピースバンドの良さ
・ブサイクに異議あり
・熟練の味
・見えてきたターゲット
この「3ピースバンドの良さ」という項目。いうまでもなくボーカル兼任のギターとベースとドラムしかいないということです。実にシンプルでAXのステージに3人と3人の機材しかない風景は少し奇妙なものにすら見えました。
でだ。3人でも当然演奏は成立する。ただしもっと人数がいたほうが可能性も広がるし、別の楽器があれば音に多彩さが増すことは言うまでもない。当たり前のことですが人数が多いほうが無難。少なくとも足りないという現象は起きない。ただし多ければ良いというわけではなく多いからこそ起きる弊害もある。
具体名は挙げないですけど昨年参加したライブで多人数編成のバックバンドがありました。最大でギター3人、ベース、ドラム、パーカッション、キーボード、トロンボーン、トランペット、サックス、ヴァイオリン2人、ヴィオラ、チェロ。この全員を同時投入ではなく曲ごとに使い分けたにしろ酷いものでした。
他のライブでも同様に多人数のバックを抱えていたものを経験しています。上記と似たような編成にコーラス部隊やDJの場合もあり、ドラムが2人なんて場合もあった。とにかく多彩な編成でそれぞれそのアーティストが作り出す世界観を表現しようと試みる。
ですがそれは必ずしも成功しません。単に演者の技量もあるでしょう。それ以上に難しいのはその調和です。
くしくも今回のツアーにGO!GO!メンバーが持って望んだテーマがありました。
それが「3人でひとつの音を出す」でした。
十数人よりも三人のほうが合わせるのが楽。単純にそう言うことも出来ますが普通はそれだけで簡単に済むものではありません。当然キーボードがいなければキーボードの音は無い。ホーンセクションがなければあの音もないし、ストリングスがいなければあの音もない。
多人数よりも会わせ易いとは言え、限定された条件での戦いとなる。ましてギターとボーカルが分業されていないため、実際にギターの音が空白となる瞬間もある。その間はベースとドラムだけで空間を成立させなければなくなる。
理屈で言うよりも余程難しい。難なく出切るのであればそれこそ多人数のバックバンドなど要りません。結局曲作りの段階から3人であるという制限条件のもと作ることになります。
当然この部分もソレ用の才能が必要となります。それこそ著名な作曲家・編曲家さんでも3人用という限定条件が得意な人もそうでない人もいるでしょう。
GO!GO!7188が面白いのは作曲担当のユウちゃんがそういう才能に恵まれていたこと。でもってたまたま作曲の才能があっただけではなく、それと組み合わせるべきベースとドラムという存在に出会えたこもあります。
3ピース用の曲がありました。上手く演奏できれば素晴らしい作品になります。ここからは技量の勝負であり、個々の技量だけでなくバンドという単位での調和力の問題も伴ってきます。
で、これまで言って来た様にGO!GO!7188の3人の音の融合と言うのは素晴らしいわけです。今回じっくり聞く機会を与えられたのを良いことに序盤から中盤まではベースのアッコの音を追い、中盤からはドラムのターキーさんの音を追っていました。
何故個別に追っていたかと言うと全体的な音はそれまでの2回で聞いていました。その上で何故3人しかいないのにこんなに良い音が聞こえてくるのか、何故全く音が足りないと感じず、むしろ溢れる様な音が聞こえてくるのかがさっぱりわからなかったわけです。
なのでひとりひとりじっくり聞いてみる・・・その上でどうだったかという話は昨日書いたように、まだ見えてこない、まだ聞き足りないという事になります。
自分で演奏したこともなく、これまで演奏者側にこだわってみてきていないのでこの2人がどれくらいウマイ人なのかイマイチわかっていません。でも直感的には上手い・・・ただ、やはりそこは不透明なところがあるし、もっとバンド系サウンドを生で聞かないとわからないという気になっています。
で、何もわからなかったかと言うとそうではなくて、やはり調和の部分は強いのだなと言うことはわかります。ベースはあくまでベースなのでそんなにふらつくとも変化があると思いませんでした。というか柱としてしっかりとした音を出していたと思います。
決してアッコのことを軽視しているとかそういうわけではなく、演奏としてのアクセントをつけている部分としてはターキーさんの役割が大きいのかなと思ったまでです。
その役割は押し引きが出来ているということ。何かと言うと自分が出る場面と引く場面をわきまえているというか、「ターキーのターン!」と「ユウのターン!」というメリハリがはっきりしているなということを感じたわけです。
どういうことかって言うと、サビに向けて一気に加速していくところではターキーさんがブーストを掛けて力強く引っ張っていく、そしてユウちゃんがオイシイ場面に入るとターキーさんは引くんです。
打ち上げロケットの一発目のエンジンが切り離されるみたいなもので、ターキーさんが露払いして美味しい所はユウちゃんに譲る。譲るという謙譲の精神というよりは、役割分担というか3人でひとつの音すことがバンドとしての答えであるという関係が出来上がっているというところですね。
俺が俺がではなく誰がどの部分でどれくらい必要なのか。その設計と調和が取れていて、その設計図どおりにプレイ出切る技量があり、プラスアルファを出せる経験と才能がある。
3人のコンビネーションと技量があり、更に3人で演奏する上で過不足ない楽曲を制作できる。GO!GO!7188が立派なバンドだなと思えるのはここら辺のことがあります。
それでもこれらの条件は技量がある人間を集めれば不可能なことではありません。そこで最後に現れる要素が他でもないボーカリストであるわけです。
テーマとして「ボーカリストとしての中島優美」というものを掲げていたわけですが、ボーカリストとして単品の評価をすれば必ずしも最上のものではありません。
ベストではありませんがベターではあります。歌い手としての技量・声質・声量にこれといった欠点はなく、十分にプロとして通用するものがあります。
ならば中島優美ではなくもっと上級とされるボーカリストならばGO!GO!7188がもっと上の存在になれるかと言えばそうではありません。ここにまたGO!GO!7188の面白さがあります。
結論から言えばユウちゃんの歌声なしにGO!GO!7188の世界観は完成しません。MISIAや吉田美和が同じ楽曲を歌ったところでそれは別物になってしまいます。
あの昭和臭のする歌声であるから成立している楽曲が幾つも存在しているように、上手い下手ではなく中島優美の歌声が一番マッチするような世界観が構築されているわけです。
中島優美の楽曲なしにスリーピースバンドとしての成立はなく、GO!GO!7188の世界観を形作っている上で大きなウェイトを占めているのも彼女の歌声です。
ならばソロボーカリストで十分ではないか? GO!GO!7188が面白いのは冒頭に書いた「演奏>歌唱」であることです。
確かにユウちゃんの歌声には特徴があり、その歌声から成立する世界観は特異性がある。でもそれらのことを包む大きな風呂敷としてターキーさんとアッコが繰り出す生きた音があって初めてこれがGO!GO!7188ですと言えるものになるわけです。
3人でひとつの音を出す。演奏者としての融合もあるでしょう。ですが歌唱・楽曲・演奏という3点での融合があることも重要なファクターです。
この『融合』ということがGO!GO!7188においての最重要な要素であって、多人数でもバラバラなバンドが無意味な音を出しているのに対し、三人でも鮮やかで豊富な音を出していること、そしてさっき書いた「3点での融合」があることで素晴らしいバンドへと昇華しているわけです。
バンド嫌いでロックに造詣ない私が反応したくらいですからホントに良い音出すバンドです。なのでだいぶオススメですし、年の頭からベストライブ級に当たれて良かったなと思っています。それこそ高まった挙句、二階からI can fly!してやろうかと思ったほど(笑)
あとギタリストとしてのこんこんに関して何も言ってないんですが、どう見ても上手い気がします。それもかなり。それこそギタリストも色々見てきていますが、かなり良い音を出しているようにしか思えません。とは言うもののあまり自信がなく声を大にして言えません。実際歌いながら片手間でやっているだけでも凄いんですよ。
そんな感じで思いつつまま書きなぐって見ましたが、どうでも良いこぼれ話とかはまだあるので気が向いたら書いて見たいと思います。ちなみに今週末はライブ活動はなく女子プロレスを見に行くくらいです。でもって来週は男子プロレス。ライブ活動は再来週かな。
と言うことで本日は閉店ガラガラ~...< ,,‘∀‘>
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コメント
この稿に関して、特にどうこういうつもりはございません(笑)
ただ、一ロックバンドについて…これほど熱く語っちゃうとはなぁ(笑)。
俺が知る限り、半年前くらい前まではロックなんて本当に興味というか関心すら無かったはずなのに(苦笑)。
…でもロックに触れたきっかけがGO!GO!ってのは、結構運がよかったのかもね。
初めて見たバンドがもし肌に合わなかったら、より一層ロックに拒絶反応していた可能性があったかもしれない事を思えば、尚更。
投稿: 茹骨 | 2008/01/26 14:15
ロックというニュアンスは私の中にはないですね。
純粋に個々の演奏とバンドというパッケージでの完成度。
そのあたりに心打たれた部分があります。
なのでロックには今でも興味ないですよ。
投稿: mov | 2008/01/26 15:05