熱気の渦
つづき
「ボニーピンクはロックである」
これを当たり前の話じゃんと思うのか、そうなの?と疑問に思うのか。普遍的にはどっちなんだろうというのが目下の疑問。
ライブ前日に「ライブもどんなものになるのかも想像がつかないまま」と書いていたのはそこら辺のことがありました。
アルバムを聞いていてもその傾向がつかめない。どういうライブステージを行うのか想像がつかない。
普通作品を聞いていればどんな感じなのかと言うのはイメージできます。ただボニーさんに関してはそれがピンと来ていなかった。
武道館なので緞帳があるわけでもなく、ステージ上のバンドセットが裸のまま。
ギター×2、ベース、ドラム、パーカッション、キーボードの6人が基本構成。
曲によってそこにギター、トロンボーン、トランペット、サックス、ヴァイオリン×2、ヴィオラ、チェロが追加される。
ライブのアタマは基本構成プラス追加ギター&ホーンセクションの10人体制。いきなりガンガンなロックで攻撃してきた・・・のは良いんだけど。
このライブは開演時点でおかしかった。
普通どんなライブでも冒頭は沸くものである。である。
このライブ、例えると「ぬるっ」と言う感じで始まってしまった。
なにがどう変なのかと言うとテンションが低い。反応鈍い。
開演直前。照明が真っ暗だったわけでもなかったのでステージにバンドメンバーが現れるのが良くわかった。それどころか本人登場も良く見えていた。
なのに反応が薄い。
「ワー」とか「キャー」とかがない。通常女性の方が男性よりも敏感な印象がある。その女性客が多いにもかかわらず反応が来ない。
(その時の私のリアクション)
え!? 本人出てきてますけど・・・
始まっちゃいますけど?
良いの?
良いの?
良いの???
(演奏スタート)エエエエー!!!
なんでそんなに反応しないのかが理解できなかった。えと、みなさんボニーさん見に来た人ですよね・・・って。
そして最初からロックテイストの強い曲と演奏できた。んーみんなついて行ってないよね。ていうか2階席みんな座ってますけど。
どこまでその不思議体験を伝えられているかわからんですけど、とにかくライブ前に期待感とか緊張感とかそういう空気がまず伝わってきてなかった。
そのまま何だかグダグダでスタートしてしまって、ロックな曲が来たのに全くノリノリでない。付き合いで立ち上がるということすらしない。このテンションの低さと反応の鈍さがずっと続きました。
例えばイントロだけで沸く曲ってある。そのアーティストの代表曲は勿論、アルバム収録曲でも隠れた名曲みたいにファンから愛されている曲ってどのアーティストにもある。
イントロで沸いた曲は「Heaven's Kitchen」と「A Perfect Sky」だけでした。ちなみにHeaven's Kitchenが登場したのが20時6分。ライブ開始から1時間後。A Perfect Skyはアンコール。それまでの時間は静かだったということです。
この反応の鈍さは・・・ライブよりもボニーさんよりも私の着眼点はそこになっていました。実は事前に気になっていたことがあったので。
ボニーさんは95年デビューの結構古株。存在自体は昔から知っていましたがメインストリームにいる人ではなくサブカル系の人だと思っていました。
そのボニーさんが一躍脚光を浴びたのが2006年の「A Perfect Sky」
資生堂のCMソングとして注目され、その直後に発売されたアルバムがブレイク。キャリアがある人だったので日の目を見てよかったなーなどと他人事で祝っていたことを覚えています。
そのブレイクから1年。その間に何かあったかなと思うと記憶がない。一応アルバムもシングルも出しているのだけど話題になった記憶がない。はっきり言ってしまえば過去の人になった感があった。
そういう状況で武道館。お客が入るのかと言うこともそうだし、客層もどうなのかは注目していました。
急激なブレイクで新規客が大量流入して、古参の客が去るなんてことは良くあります。
それも旬な時期ならば熱気も保たれているだろう。でもこの1年と言うブランクがどう影響しているのか。
結果的にはここら辺の疑問が反応の鈍さとテンションの低さに繋がっていたようです。
途中のMCで「今日初めてボニーピンクを見たひとー」って聞いたところ結構手が上がる。2階席もそうだけどアリーナにも結構いる。
MCではこんなこともありました。「2階席起きてる?」
さすがにあれだけ沸いてなければ気づくだろう。
温度は錬度だなと思うところがあります。プロレス会場でも似たような傾向がありますが、常連客が多い会場はテンションが高く反応も良い。それだけでなく積極的に楽しもうとする姿勢がある。
今回の武道館がどうだったかと言うと、ライブが始まっても立ち上がらないくらいそうだった。
どの会場にも初心者はいる。でも周りが慣れている客ばかりで、周りが盛り上がっていれば、それに釣られて盛り上がったり、盛り上げられてしまったりする。
今回はかなりの面積をそうではない空気が覆っていた。盛り上がりたいと思う人がいても場違いとさえ思えてしまう空気が支配していた。
2階席から見下ろす光景なのに熱気の渦が見えてこない。それは寒々しい光景でした。
急激なブレイクでバブル的に客層は広がった。ただしそれらの客は初心者層であって、それらの客が熱いうちに錬度を上げられれば良かったのだろう。
初めて来てみたけど乗り切れない雰囲気だった。そんな事を感じていたお客さんがいたかもしれません。もしそうだとすればアーティスト側にとっても観客側にとっても不幸だったでしょう。
厳しい言い方をすればそういう羊の群れを狼に出来なかった。その程度の実力でしかないとも言えます。
今回感じた事は急激な拡張で生じてしまったひずみと、分相応のキャパシティがあるのだなということ。
それと冒頭に繋がりますけどその羊の群れが「ボニーピンクはロックである」といういうイメージを持っていたのかどうか。
ライブに行ってみてギャップを感じた人はいます。ただそれはMCなどから理解したキャラクターなどであって、音楽的な部分ではありませんでした。
私にとってボニーさんはあまりロックのイメージがなかった。ライブを経験した後に聞きなおしてみると確かにそういうテイストの曲はある。
だけど印象に残るのはどちらかと言うとゆっくりなテンポでムードがあるタイプの曲。私の持っていたボニーピンクに対するイメージはそちらでした。
冒頭から強いロックテイストで来た。そこで乗り切れなかったという気持ちが実際にあります。ただそこから修正していくもので時間と共に次第に掴めて来た。
けれども臆病なほどに積極性を欠くお客さんだったとしたら、その第一歩のつまずきでもう立ち上がれなくなってしまっていたかもしれない。そういう部分もあったかもしれません。
特殊なサンプルとしてこの武道館に参加できた事は意味があったと思います。ただボニーピンクというアーティストをちゃんと評価するためには、古参ファンで固められていたブレイク前を見てみたかったなという思いがあります。
ちなみにA Perfect Sky前後の変動は、ブレイク前のアルバム「Golden Ters」が累計42,058、ブレイクしたベストアルバムが500,360、今年の7月に出たアルバム「Thinking Out Loud」が97,918です。
まだつづく
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コメント
サクラが多いとかじゃないですかね。
投稿: 通りすがり | 2007/10/28 07:27
>通りすがり様
それはありますね。
何かの招待とかでモチベーション低めのお客さんだった可能性はあります。
ただ手拍子とかは律儀に付き合うんですよね。
楽しんでいるのか楽しんでいないのかがイマイチ微妙でした。
投稿: mov | 2007/10/28 10:48